奏が倒れた?
Sou Fell Sick?
コンサート当日は雨だった。
俺は待ち合わせるの駅までゆっくり歩いた。
雨の日は嫌いじゃない。
特に桜がまだある雨の日は。
アスファルトを桜の花びらが流れていって、それを見ながら歩くのが好きだった。
俺はこの日の為に新しい服を買った。
席は一階のかなり前の方で、ひょっとしたら西川美和湖の視界に入るかも知れない。
「うひひ……」
俺はにまにましながら歩いた。
奏もかなり気合いが入っているらしく、昨日は一番お気に入りの美容師を呼びつけたと言ってた。
美容師って、呼びつけるもんなの?
俺はラインで聞いた。
え? 来るでしょ。
奏は切り終えた顔を写メって俺に送ってきた。
そこには相変わらず悪趣味な豪邸でニッカリ微笑む奏が、バリバリにきめた髪型で微笑んでいた。
どこの王子様だよ。
ていうか、美容師は家に来ないだろ。
俺はこのクソ金持ちが!! と書き、団子をムシャムシャ食べてる豚の絵を送った。意味はない。
奏の家には、美容師も病院も服屋も家電屋も全部来る。
どんだけ金持ちなんだよ。
「来年から東京だ」
呟く奏の言葉を思い出す。
金持ちゆえの宿命も、奏はきっと受け入れている。
俺はそんな所は凄いと思っている。
だからずっと友達で。
ずっとずっと一緒だったけど、今年一年でお終いだ。
冷たい傘の枝を掌で握った。
It rained on the day of the concert.
I walked leisurely upto the station that was our meeting place.
I don’t hate rainy days.
Especially the rainy days when the cherry blossoms are still around.
I loved to walk while seeing the cherry blossom petals floating on the asphalt.
I bought new clothes just for this day.
My seat is quite ahead on the first floor, so if my luck’s good,there’s a chance of coming in Nishikawa Miwako’s field of vision.
「Uhihi……」
I walked while grinning to myself.
It seems Sou too, was considerably fired up, he said he called for the most popular hairdresser yesterday.
Are hairdressers to be called?
I asked in a line.
Eh? Don’t they come?

 

Feeling generous? Maybe you could spare some money for me?


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